愛聴盤 2


ROCKIN’IN RHYTHM / SONNY CRISS 

PRESTIGE  PR 7610

SONNY CRISS (as)  EDDIE GREEN (p)  BOB CRANSHAW (b)
ALAN DAWSON (ds)

1968

60年代中期から後期にかけて、クリスはプレステッジに7枚のリーダー作を吹き込み、本作は6作目。この年、3作も録音した最後の作。7530、7628の方が人気があるが、僕は、これが一番好き。毎度お馴染みのようにポップ・チューンを配しており、ここでは、ビートルズ・ナンバー「エリナー・リグビー」がトップを飾っている。悪くない、が、本作の目玉は、B面の2曲、‘misty roses’と‘the masquerade is over’。
クリスのプレイを‘品が無い’とか‘下品’と言う人達がいるが、よほどその人達は、品の良い生活、言動をされているんでしょう。‘ツボ’に嵌ったらこんなに酔わせてくれるアルトは、クリスの他、いない。ラストに相応しい
‘the masquerade is over’、愛の終わりをラプソディックに歌い続けるクリスのアルト、酔いましょう、ご一緒に。それにフィラデルフィア出身と言うエディ グリーンのピアノ、イヤー、参りました。もうこれは、ピアノのクリスだ。
自ら死を選んだ?クリス、他人の想像を越える苦悩があったのだろう。‘下品’、‘品が無い’とは、まるで‘〇〇にムチ’に等しい。止めようではないか。
今となっては、この曲、意味深に聴こえるのは僕だけだろうか。

ps  EDDIE GREEN、一体何者なんだろう。P・マルティーノの‘EAST!’では、たしか、エレピ?を弾いてたような記憶があるけど詳しい事はしらない。そのピアノは半端ではない。


エバンスのRiversideレーベルとしては最後期の録音となった本作は、彼の全レコードの中でも異色であり、同時に屈指の名盤となった。但しエバンスは「トリオ」に限る、とお考えのファンにとっては、どうでも?いいのかもしれない。だが、ここで、聴かれるエバンスには、彼のジャズピアニストとしての魅力のすべてが凝縮されている。

彼の魅力の一つでもある「リリシズム」も‘星に願いを’にちゃんと収められているし、それより、ピアノを弾くのが楽しくてしかたがない、と言わんばかりにスインギーにメンバーと歌い合うエバンス、最高です。

中でも‘I'll Never Smile Again’でハバード、ホールと、そしてジョーンズとのかけ合い、スリリングで聴きものです。マイルス、MJQ,、ロリンズといった超大物グループ出身(在中も含め)の‘つわもの達’に交じって、まだ新人の域を脱していないハバートが、戸惑いながらも、必死に追ていく姿、イヤー、清々しいですね。

人気曲でもあるトップ曲‘あなたと夜と音楽’のスピード感も堪りません。お蔵になっていた59年のトリオ・ヴァージョンの方を薦める向きもありますが、聴き方のスタンスの違いと思います。トリオ・ヴァージョンを好む方は、楽しい時間を過ごすだけで良い、という羊派、一方、本作のヴァージョンは、
‘その後’を期待するオオカミ派ではないでしょうか。羊派には、まだ、なりたくない。それと、トリオ・ヴァージョンは、ベースのP・チェンバースが全く精彩が無く、ボツになった要因がここにあるのではないか。

話が横道に逸れてしまったが、本作がアルバム・タイトル通り、メンバー全員が楽しんでいる。我々も一緒に楽しみましょう。

INTERPLAY / BILL EVANS

RIVERSIDE  RLP 9445

FRDDIE HUBBARD (tp)  JIM HALL (g)  BILL EVANS (p)
PERCY HEATH (b)  PHILLY JOE JONES (ds)

1962

オリジナル盤


orphuem盤

DOIN’ ALLRIGHT / DEXTER GORDON

BLUE NOTE  BST 84077

FREDDIE HUBBARD (tp)  DEXTER GORDON (ts)  HORECE PARLAN (p)
GEORGE TUCKER (b)  AL HAREWOOD ds)

1961.5.6

「ヤク」から、本格的に立直り、BLUE NOTEに録音した第一作がこれ。ゴードンのBNシリーズのなかで、最も話題に登らない作品でもあります。理由は「ゴードンは、ワンホーンが一番!」なんていう評、意見が何時のまにか、定着してしまった感があるからです。だが、大男、ゴードンに、しゃかりきになって吹く姿は似合わない。

このジャケットのように‘よぅ、お兄ちゃん、元気かい?、俺は、見てのとおりさ、じゃあな、’と気障っぽいデックスのほうがお似合いです。活字からの情報量が過多になると陥る盲点でもあります。

さて、本作のデックス、いやー、ご機嫌です。全曲にわたって大らかなゴードン節が聴かれます。ハード・バップの隠れ名曲と言われる‘ソサエティ・レッド’も良いが、タイトル曲も、バラードの‘You've Changed’もイイ、もう、全部イイのだ。

でも、
最高に聴かせるのは、‘For Regulars Only’の一曲。千鳥足とは、チト言い過ぎだが、リズムにチョット遅れ気味に、しかも揺れながら、悠然とtsを鳴らすこんなデクスター、後にも先にも聴いた記憶がない。もし、ナイト・クラブでこれを聴いたならば、‘君の瞳に乾杯’なんて、キザなセリフでも言いたくなるでしょう。
もう1つの注目点は、フレディーのtp、やんちゃ坊主のハズのハバートがゴードンの貫禄の前で、実に神妙にフレーズを繋いでいる。しかもそのフレーズは、今までのトランペッターではなく、sax奏者の吹くフレーズのように僕には、聴こえますが。

さあ、もう一度、ジャケットをよく見ると、デックスは、‘乗れよ’と言っているのでは。いっしょに乗ってみませんか?


なお、本作はDB誌で最高点の★★★★★を得ている。


A SWINGING INTRODUCTION / JIMMY KNEPPER 

BETHLEHEM  BCP 77 

J.KNEPPER (tb)  R.ROLAND (tp vo)*  G.QUILL (as)  B.EVANS (p)
B.HAMMER (p)*  T.KOTICK (b)  D.RICHMOND (ds)

ミンガス・グループの番頭格ともいえるネッパーの本作は、聴く前から、チョット構えてしまいそうですが、、ジャケット・イメージとは正反対に実にリラックスした、「癒し」系の出来に仕上っています。
「トロンボーンの鬼」と言われるネッパーの強かな音楽性はもとより、スタンダード、バラード、ミュージカル、スクリーン等、バラエティに富んだ選曲も魅力です。もう一つの魅力は、B・エヴァンスの参加ですが、このセッションでは、それほどの存在感は、まだ出ていません。

それより、
ジーン・クイルのキレの良いasが隠れた目玉となっています。ウッズと双頭コンボを率いて、第一線で活躍していました頃の貴重なプレイが収められています。トップ曲にいきなり‘Love Letters’なんかが入って、「大丈夫かな?」と思わせますが、さすが「つわもの達」、決っています。‘You Stepped Out Of A Dream’、‘Close As Pages In A Book’などの好演奏がありますが、なんと言っても‘How High The Moon’のレージーな流れの中で、テーマを吹くネッパーのtbにオブリガートを付けた後、天まで届かんばかり一気に吹き上げるクイルのas、短いながら聴きものです。

余談ですが、このクイルのソロの出方で古ぼけたステレオ・システムのチェックもしています。なお、ローランドのvoの入ったトラックも好演です。

1957

ps オリジナルをずっと捜していますが、以前、都内の廃盤屋でストック用と思って、国内盤を買い、狭い階段を上がる時、マスターは‘エバンスのピアノがイイよ’と言ってくれたけれど、僕としては、マイナーな存在の‘クイルのアルトがイイよ’と言って欲しかったなぁ。


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PIKE'S PEAK / DAVE PIKE

EPIC   A 16025

DAVE PIKE (vib)  BILL EVANS (p)  HERBIE LEWIS (b)
WALTER PERKINS (ds)

1962

かって、国内盤でエバンス名義の「ヴァイアード・ブルース」というタイトルで発売されたこともあり、マイナーなD・パイクの「幻の名盤」としては、意外?によく知られている。演奏内容が、良いだけに、そんなせこいこと(ジャケットもショボイ)をせずとも、堂々とオリジナル仕様で出せばイイものを。

それはともかく、PIKEの「一世一代の名演」を記録したレコードには、違いない。しかしエバンスの参加が、必要以上に誇張された評が多くみられ、パイクには、誠に気の毒。僕が聴く限り、、パイクを立ててか、或いは録音のバランス上、エバンスのピアノはややOFF気味で、期待以上のものではないように思います。エバンスの本当の力量はこんなものでは無いはず。全篇、主役のパイクのバイブが冴え渡り、選曲も素晴らしい。

トップの‘Why Not(パイクのオリジナル)’は、コルトレーンの‘Imperssions’と同曲で、どちらがホント?とよく話題になるのがですが、あまり知られていない伏兵?、本命?があるのです。これも「幻の名盤」の一枚、R・ボイドの「EASE IT」に入っているピート・ラ・ロカのオリジナル‘Why Not’。しかも、一番、早い録音(61年・3月)なんです。さぁ、どうなんでしょうね? 

その他、‘In A Sentimetal Mood’、‘Besame Mucho’など好演が有りますが、
極めつけは、ラスト・ナンバーの‘Wild Is The Wind’です。まだ、わずか23才の若者にこれだけソウルフルでリリシズム溢れるバイブをたたき出せるとは、チョット信じがたい。これでは、本家のエバンスも形無しです。
唸り声も全く気にならないほどの名演奏の連続です。ハード・バップ盤の後、耳?直しに愛聴している。国内盤ですが、音は悪くない。


ps 本作の録音日で、以前のデータでは1961年11月でしたが、近年では、1962年2月が多いのでこれに従いました。
なお、‘Impressions’の録音は1961年11月です。

* 94年に初リーダー作を録音していました。(5/19)

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(2003.2.7)

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