独 り 言 

(3) 伝説のピアニスト「EDDIE GREEN」

THIS ONE’S FOR YOU / EDDIE GREEN

INTERPLAY  NLP9507

EDDIE GREEN (p)  TYRON BROWN (b)  JIM MILLER (ds)

1994

「伝説」と言っても僕だけが勝手に言っているだけで、一般的には、認知されている訳ではありません。なにしろ、ライナーノーツを書いている寺島氏さえ、「知らなかった」のですから。それにしても、まさか彼が書いているとは、ビックリしました。

でも、彼が知らなかった、とは釈然としません。と言うのも、このE・グリーンは、寺島氏が著書の中で、時々触れているS・クリスの、一枚のレコード(ロッキン・イン・リズム)にサイドマンとして参加しているからです。まぁ、クリスについて、あまり良く、書いていないので、記憶が無かったのでしょう。

しかし、ライナーノーツを書くとすれば、経歴ぐらい少し調べてもよさそうなものだが。ましてやグリーンのような殆ど知られていないミュージシャンの場合となれば尚更と、思います。しかも、本人と録音契約の際、関係者と一緒に立ち会っているのだから。横柄さ、が感じられます。

それにしても、グリーンがリーダー作(初めて)を出しているとは、思いませんでした。つい最近、某専門雑誌の増刊号(ピアノ・トリオ特集)をパラパラと目を通していて、本作が「INTERPLAY」レーベルから、リリースされていること知りました。そこで、廃盤屋へ行ったところ、国内盤で「NORMA」から発売されていました。

さて、グリーンのピアノ、半端ではない。寺島氏は、「没個性」的と言われていますが、正反対です。「ロッキン・イン・リズム」で聴かせたノリノリのファンキー・タッチは、年齢と共に成熟し、本作では、ヘンな言い方ですが、「精製されたファンキー」とでも言える鮮やかなプレイが楽しめます。否、これがジャズ・ピアノの王道かもしれない。とにかく、華麗にダイナミックにスイングします。しかも、湿度0%の乾いたクリーンな音色で。この辺りが、日本の多くのファンに合うか、合わないか、分岐点かもしれない。

S・ジョーンズの‘Unit Seven’、D・ピアソンの‘Jeannine’やモーダルなJ・ヘンダーソンの‘In'n Out’のアップ・テンポの曲では、本領発揮です。また、オリジナルのタイトル・ナンバーでは、美しいメロディ・ラインで酔わせてくれます。

名が知られなかったのは、生まれ故郷、フィラデルフィアを出ようとしなかっただけで、実力は、間違いなくトップクラスです。この録音もフィラデルフィアでされている。大都会がいやなのでしょう。そんな、EDDIE GREENのピアノ、一度、聴いてみませんか。


BACK

* 間違いやすいベニー・グリーンとは別人です。

(19/05/’03)

NEXT

INDEX
TOP