呟 き

(5)  30年ぶりのMcLEAN

LIVE AT MONTMARTRE

steeplechase  scs 1001

嘘のような話だが、30年ぶりにこのレコードを聴きました。レコード棚の一番下、しかも一番端に置いてあったため、長い間、日の目?を見ることがなかった。当時(72,3年)、マクリーン・フリークの知合いから、「これは、絶対買っとけ」と半ば、強制的に買わされた購入動機の不純さ?からくるものかもしれない。それより、マクリーンの‘Let Freedom Ring’のコメントで触れているように、僕にとって、マクリーンは、ブルーノートの‘Let Freedom Ring’以降の「アグレッシブ・ジャッキー」であって、このsteeplechase盤のメンツでも推測できるようなハード・バップ・ジャッキーにはあまり興味が湧かなかったのも事実です。

最近、棚を整理していたところ、本作を見つけ(勿論、すっかり忘れていたわけでは、ありませんが)、何時も、拝見しているある素晴らしいサイトに、センターレーベルのsteeplechaseのロゴ違いで1st盤と2nd盤の区別が出来る、と掲載されている事を思い出し、確認してみました。そうしたら、1st盤だったので、チョットうれしくなり、聴いてみた訳です。まぁ、1st盤といっても、72年ものだけにそれほど貴重ではないが、
steeplechaseレーベルの第一号となれば、それなりの価値はありそうだ(いや、ないか?)。

さて、5年間にも及ぶ沈黙を破って、異境の地で吹き込んだ本作は、所謂・ハード・バップだが、逆戻りを責めるつもりもないし、かといって、安っぽい感傷的な賞讃をするつもりもない。ただ、激動の60年代をひたむきなファィティング・スピリットで駈け抜けたジャッキーが、未だ情熱を失わず立派にジャズを演っている姿に感動すら憶える。身振り、手振りを交えて熱ぽく語るジャケットのジャッキーは、一体、何を訴えているのだろう。過去なのか、未来なのか?それとも、今、現在だったのか?

本作のもう一つの聴き所は、「音」、つまり「録音」の良さです。狭いはずのクラブでのライブのもとしては、なかなかの好録音と思います。すこし、ハイ上がり?ながら、ジャッキーの引締まったトーンのアルト、それから、アレックスのシンバルのリアリティ等、聴かせてくれます。また、全体の臨場感も優れていて、モダンジャズの醍醐味を楽しませてくれます。まるで、「モンマルトル」に自分もいるようなそんな錯覚を覚えます。

1972

なお、レーベルに貼ってある証紙?みたいなものは、恐らく関税に関係するものではないでしょうか。正確な事は、判りません

1962〜67年、あの‘Demon's Dance’までの5年間に及ぶ自己改革の時代、他人が想像する以上にエネルギーを必要としたのでは、ないでしょうか。それを充電するのに、同じ5年を要した事実が物語っています。‘センチメンタル・ジャーニー’、‘クール・ストラッティン’、そして‘レフト・アローン’も良い、しかし、マクリーンの本当のジャズ・スピリッツは、昔のスタイルを懐かしむファンから殴られたりしながらも、己の信念を貫く‘アグレッシブ・ジャッキー’にあると思います。
そんな、ジャッキーの僕の愛聴盤はこれです


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