呟 き
(4) ROLAND HANNAの「幻の名盤」二題
ローランド・ハナのアトランティクの傍系「ATCO」に吹き込んだ、デビュー作と第二作が「幻の名盤」として世評が高い。デビュー作は「DESTRY RIDES AGAIN」、2作目は「EASY TO LOVE」。2作とも甲乙、付け難い出来映えだが、「幻の名盤読本」に掲載されたのは、全篇、トリオの「EASY TO LOVE」の方であった。
HANNAは、K・バレルのブルーノート盤(4021)、F・ハバードのMPS盤で聴いていた程度で、印象に残る程ではなかったが、ある日、なんでもない廃盤屋を覗いた所、オリちゃんが、まるで、僕を待っていたかのように、エサ箱のスミに残っていた。
恐る恐る(期待半分、不安半分)針を降ろしてみた。B・タッカーの粘りのあるベースに乗って、華麗して軽快にスイングするそれは、見事な演奏でした。その後、「DESTRY RIDES AGAIN」も手に入れたが、これも素晴らしい出来でした。ただし、こちらは、K・バレルが半分の4曲に入っている。
どちらが良いと、言われると困ってしまうが、個人的好みでは、ズバリ、「EASY TO LOVE」です。通の方は「DESTRY RIDES AGAIN」に手を挙げるかもしれないが、その理由は、納められている曲の違いと、バレルの参加ではないでしょうか。
「DESTRY RIDES AGAIN」は‘HAROLD ROME’のミュージカル・ナンバーを集めているのに対し、「EASY TO LOVE」は、‘Like Someone In Love’、‘Yesterdays’をはじめお馴染みのジャズ・ナンバーで構成され、ラスト3曲、‘It Never Entered ・・・’、‘Easy To Love’、‘Night In Tunisia’と続くあたり、まるで、ロー、セカンド、トップとシフト・アップしていく爽快感が堪りません。特に‘Easy To Love’は出色の出来です。
なお、どちらも、ピアノジャズ・ファン、必携の名盤には違いありません。
(ATCO 33-121)
(ATCO 33-108)
ROLAND HANNA (p) BEN TUCKER (b) ROY BURNES (ds)
25/09/1959
16/04/1959
* 17/04/1959
ps どちらも、数年前にCD(国内)化されています。
(12/05/’03)