呟 き

(12) 不可解な9月1日のセッション

STREET SINGER / J.McLEAN & T.BROOKS 

BLUE NOTE  G]F 3067 (GXK 8161)

BLUE MICHELL (tp)  TINA BROOKS (ts)  JACKIE McLEAN (as)
KENNY DREW (p)  PAUL CHAMBERS (b)  ART TAYLER (ds)

1960. 9. 1

BACK TO THE TRACKS / TINA BROOKS

BLUE MICHELL (tp)  TINA BROOKS (ts)  JACKIE McLEAN (as)
KENNY DREW (p)  PAUL CHAMBERS (b)  ART TAYLER (ds)
1960. 9. 1

BLUE MICHELL (tp)  TINA BROOKS (ts)  KENNY DREW (p) 
PAUL CHAMBERS (b)  ART TAYLER (ds)

1960. 10. 20

BLUE NOTE  4052 (Unissued)

JACKIE’S BAG / JACKIE McLEAN

BLUE NOTE  4051

BLUE MICHELL (tp)  TINA BROOKS (ts)  JACKIE McLEAN (as)
KENNY DREW (p)  PAUL CHAMBERS (b)  ART TAYLER (ds)

1960. 9. 1

DONALD BYRD (tp)  JACKIE McLEAN (as)  SONNY CLARK (p)
PAUL CHAMBERS (b)  PHILLY JOE JONES

1959. 1. 18

まず、基礎認識から始めよう。
この日(9/1)収録された6曲は
  1.Melonae’s Dance  2.Apointment In Ghana  3.Medina
  4.Isle Of Java  5.Street Singer  6.A Ballad For Doll


その内、2、4、6の3曲が<BN・4051>のB面で発表される。
また、5 は<BN・4052>で発表される予定(正規の意味)で、「お蔵」にされた。
そして1、3が未発表となる。要するに、ばらばらに解体されたワケです。

本盤は 80年、世界初登場シリーズとして、突如、9/1の全6曲を一枚に纏めリリースされたもの

正規にリリースされた‘JACKIE’S BAG’(4051)と「お蔵入り」の目にあった‘BACK TO THE TRACKS’(4052)、そしてこの‘STREET SINGER’の3枚の関係を一言で説明するには骨が折れる、というかややこしい。全ては<4052>つまり‘BACK TO THE TRACKS’に起因する。正式には<4052>は欠番であるが、この「幻の一枚」がオリジナル・ジャケットで世に出たのは、90年。しかも、特典レコード(非売品)として登場し、市販品としては93年のCDが初めてとなります。


さて問題は<4052>のジャケットの表と裏のメンバー表示が違う点です。フロント・カヴァには1曲だけだが入っているはずのマックリーンの名が記載されていないのに、バック・カヴァではマックリーンがあたかも全曲参加しているように記載されているのだ。しかも非売品LPには日本語ライナーノーツが付いてなくて、この辺りの事情が大変解りづらい。


また、録音日に関して確かにカスクーナの英文ライナーナーツには
「Street Singer」以外は‘Seven weeks later・・・・・・’と記載されているが、ここまで解読するのは正直な所、辛いというもの。
<4052>全曲、同じ日、つまり9/1のセツションで録音されたと錯覚してしまう。ただ、ブルックスのコンプリートBOX(モザイク)をお持ちの方はそうでもなかったようです。勿論、先にリリースされている‘STREET SINGER’を良く理解しておれば、混乱しないワケですが・・・・・・・・・・・・・。 

STREET SINGERのCD盤

本作は特典レコード(非売品・90年)の他、その後しばらくして輸入盤(EMI−CAPITOL・重量盤)が一度、そして最近ではクラッシック・レコードからリリースされています。

A面ではヤクでこの後しばらく引退状態に入る直前のメロメロのクラークのpが聴かれます。

さて、よく問題とされるのは、9/1のセッションのリーダーは誰だったのか?一般的にはMcLEAN SEXTETと言われていますが、マックリーンが3曲、ブルックスも3曲、提供しており、双頭セッションとも充分考えられます。或いは3曲ずつリーダー作を作り、カップリング相手は後から考えるという手も不思議ではなく、当初はひょっとするとその予定だったかもしれないが、ここで登場するのが59年1月18日の一枚分収録できなかった(3曲しか)セッション。恐らくクラークの出来からくるものだろう。

しかしながら、1/18のセッションが、もし一枚分が出来上がっていれば、果たして9/1のセッションが一枚として予定されたか、と言えばそうでもなく、10/20のセッションも一曲(David The King)がボツになり、一曲分少なくなってしまった。そこでライオンは考えた。9/1分をバラし、1/18と共にBAGに詰めたのである(4051)。通説では、そうなっている。

結果的に割を食ったのはブルックス。1/18の3曲をマックリーン、BNの4作目の‘JACKIE’S BAG’(61年7月リリース)まで持ち越してまで発表した理由は何だったのだろう。
そして皮肉なことに‘JACKIE’S BAG’(4051)のそのA面・3曲は無視?され、B面(9/1分)が人気を博してしまうのだ。どこまでもツキのない男、ブルックス、ライオン、最初で最後の「読み違え」とでも言うのだろうか。

話を‘STREET SINGER’に戻すと、この9/1のセッション全体が妙に統一感が有り、マックリーン、ブルックス、ミッチェルの誰のリーダー作にしてもおかしくない出来だった。

その中で、タイトル曲、‘STREET SINGER’の退廃的な曲想の中で聴かせるミッチェルのやるせないtpは彼の名ソロの一つに挙げられるのではないでしょうか。



最後に、‘BACK TO THE TRACKS’(4052)は、世で言うように本当にアルバム・カヴァ、収録曲等、全て整って後はリリースを待つだけだったのだろうか?


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(2004/3/5)

*Street Singerの一曲

*残りの4曲

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