独 り 言 

(4) SONNY ROLLINS ON RCA VICTOR 

SONNY MEETS HAWK! / SONNY ROLLINS

RCA VICTOR  LPM 2712

SONNY ROLLINS (ts)  COLEMAN HOWKINS (ts) PAUL BLEY (p)
HENNRY GRIMES (b)  BOB CRANSHAW (b)*  ROY McCURDY (ds)

その昔、ロリンズとコルトレーンのどっちが、偉いか、なんて、結構マジで議論された時期がありました。コルトレーンの死後もしばらくの間の続いたいたような記憶があります。まぁ、勝負は大半、決っていたようなもので、なにしろ、コルトレーンは人気絶頂期での急逝、しかも「至上の愛」という「葵のご紋」どころか、「錦の御旗」を有していましたから。
反面、ロリンズといえば、インパルスで快作を連発していたとしても、RCA時代の作品が、「いまいち」という評価が一人歩きしてしまった感がある以上、チョツト分が悪かった。しかし、もっと始末が悪いのが、このいい加減な評価がいつの間にか、定説となってしまった事です。
では、何故、そうなってしまったのでしょうか?答は明瞭です。知らず知らずのうちにロリンズを「50年代の彼と比べて」いう視点から評価しているからです。「好み」の問題ならともかく、「評価」という次元では、あってはならないことでは、ないでしょうか。地位の名誉も棄てて、自己革新を試みたロリンズ、凡人の器ではない。
最近では、‘賞味期限が切れた’とか、‘定期便で届く、暑中見舞いか年賀状みたいな新作’、‘一サックス吹き、カリプソ男’等、ロリンズを虚仮にするもの書屋が最近、のさばっているが、己の凡庸さを満天下に曝しているいるようなものだ。
卑しくも、「ジャズ」を「生業」とするならば(一部と雖も)、自分達の財産とも言えるジャズ・ミュージシャンを虚仮にするとは、思い上がりも甚だしい。もっと、ジャズ・ミュージシャンを大切をしなければならないはず。「恥」を知るべき。彼等こそ、2、3年、自己改革に姿を消して欲しいものです。もっとも、そんな度量を持ち合わせいるとは、到底思えないが。

ぼくは、勿論、50年代の天賦の才で聴かせるロリンズも、大好きですが、よくターンテーブルに載せるレコードと言えば、「RCA」時代の諸作、中でも、本作が一番。「サキコロ」のロリンズを期待するコンサバ・ファンには無縁のもの。1963年、時代とともに生きるロリンズのジャズ・ミュージシャンズ・シップが凝縮されている。考えてみれば、異様なメンバーだ。アイドルであるtsの父、ホーキンスに、前衛派となったブレイとグライムス、こんなセツションは普通では、考えにくい。が、ロリンズにしてみれば、当たり前なんです。ほぼ1週間前に、ニューポート・ジャズ・フェスティバルで競演したと雖も、「温故知新」なんて生易しいものではなく、ロリンズは3年近くにも及ぶ「自己革新」の成果を、敬愛するホーキンスの前で問おうとしたのでしょう。そうしたロリンズの壮絶とも思える心情を聴き取らねばならない。自己革新すべきは、むしろ聴き手の方では?

内容については、多言は控えましょう。ただ、‘All The Thing You Are’での聴き手の予測を超えたハードボイルドなソロ、‘Lover Man’での、テーマからいきなり崩しながら練り上げていき、最後はマウスピースで締め括るロリンズ、凄すぎる。コルトレーンを凌駕している。コルトレーンの凄さは誰でも判る。だが、ロリンズの凄さは芸術家肌で一聴しただけでは判りにくい、と思います。

但し、誤解を招くかもしれないが、本作の真価を知るには絶対に「オリジナル盤」を聴くことをお薦めします。国内盤は、決して悪い「音」ではないが、「音」が薄く、オリジナルの「音」は当時のロリンズの充実ぶりを余すことなく捉えていて、一般的な世評を覆すほどです。この頃の「DYNAGROOVE」の録音技術、大したものです。僕のオンボロ装置でも、ロリンズの、ホーキンスのtsが眼前に浮かび上がります。

vol.1

ps 2年ほど前、発売された本作の24ビットマスタリングCD盤の「音」は、驚くほど良く出来ている。
「オリジナル」に迫る「音」と言っていいのでは。但し「質」が異なっています。
やはり、レコードとCDは別物と考えるべきでしょう。


1963

(26/05/’03)

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vol.2

THE BRIDGE / SONNY ROLLINS

SONNY ROLLINS (tp)  JIM HALL (g)  BOB CRANSHAW (b)  BEN RILEY (ds)
HARRY SAUNDERS (ds)*

RCA VICTOR  LSP 2527 

1962

手持ちのレコードの中でジャケットを眺めた時間で一番長いのがこの‘THE BRIDGE’。と言っても端正過ぎるおもて面ではなく、スタジオで撮られた5カットの写真が載っているうら面。見る度にいろんな連想・空想をしたものです。
この5カットの写真から、「若きテナー・タイタン」というより「考えるtsの挑戦者」のイメージを思い浮かべる者は僕だけだろうか?まるで、3年近くに及ぶ空白の時間を映しだしているようだ。雲隠れは「引退」ではなく、「自己革新」のため。大きな誤訳です。
発売当時、‘変わったか?、 変わらなかったか?’と議論が起きたそうだが、僕は‘歌心は変わらないが、歌い方は変わった’と思っている。なんだ、と思われるが、例えば、シナトラでお馴染みの‘Where Are You’を聴いてみよう。D・ゴードンの名盤と言われる‘GO’の同曲と聴き比べると判りやすい。
「自己革新」前(50年代)のロリンズであれば、デックス同様に豪放にtsを鳴らして朗々と歌うであろう。しかし本作のロリンズはそうは吹かない。繊細に情感をこめて歌い、曲の持つイメージを極限まで掘り下げている。名演だ。
この一曲に象徴されるように、もう二度とあのころの歌を歌わない変貌したロリンズが本作に納められている。それに落胆するか、進化と感ずるかは聴き手の自由。
されど、肝(変貌)をしっかりと聴きとる事無く‘右か?左か?’、つまり‘変わったか?変わらなかったか?’と言うような表層的な聴き方では、本作の真価はもとよりロリンズの凄さは永遠に判らなくなるであろう。

もう一つのキモは、J・ホールとのインタープレイ。‘Where Are You’、‘Got Bless The Child’といったバラードでは特に顕著で、寄り添うように二人はインタープレイの粋を聴かせてくれます。ホールはかって初来日した際のインタヴューで、、「尊敬するジャズ・ミュージシャンはだれですか?」という問いに対して、真っ先に「ソニー・ロリンズ」を挙げています。また、別の機会に「ロリンズはほとんどいっていいくらい、あれこれと注文せず、むしろこちらのプレイに合わせてくれた。ソニーはすでに偉大なミュージシャンだったので、彼の名を汚さないようにと、そればかり考えていた」と語っている。事実、上記の2曲でのロリンズのホールへのソロの受け渡しなんか、実に細やかです。いい話ではありませんか。「ロリンズの作品は聴いた事はあるが、買ったことのアルバムが・・・・・・・・」と嘯くもの書屋に聞かせてやりたいものだ。最近、ダイエーの王監督を侮辱したTV番組が物議をかもしているが、偉業を達成した人への敬意の念の欠落が根底にある。嘆かわしい風潮だ。
なお、僕の知り合いにJ・ホールの大ファンがいて、彼に言わすとホールのベスト・プレイはこの「The Bridge」だ、と言う。それを引き出したのもロリンズの謙虚さからくるものだろう。そういえばあのA・アイラーもそう言っていましたね。

僕は決してオリジナル盤至上主義者ではありませんが、本作も‘Meets Hawk!’同様に是非‘ドッグ’ロゴマークのオリジナル盤で聴いて頂きたい。
ロリンズの吹く息が正にsaxの管を通ってエネルギッシュでリアルな「音」となって生まれ変わってきます。プレステージともブルーノートとも違ってタイトでありながら豊かなプレゼンスのロリンズの「音」は格別です。また、再生がなかなか難しいとされるホールのgもふくよかで、非常に弾力のある「音」で録られています。当時のRCAの録音技術の高さがまるごと堪能できます。エンジニアは「RAY HALL」
幸か不幸か、今のところロリンズの‘RCA盤’は比較的手頃な値段で入手できます。今のうちにミント盤を。
但し、あるコレクターの方から、本作に関しては「モノラル盤」(LPM)より「ステレオ盤」(LSP)のほうが圧倒的に良い、との情報を頂いていますので参考にしてください。(ステレオ盤を持っていて、あぁ、良かった)

なお、僕は、たまたまモノラル盤で聴いていますがステレオ盤の臨場感が素晴らしい、との情報も頂いています。

たかが「音」、されど「音を軽んずる事なかれ」と教えられたロリンズ、不朽の名作です。


(8/29)

NOW’S THE TIME / SONNY ROLLINS

RCA VICTOR  LSP 2927

SONNY ROLLINS (ts)  HERBIE HANCOCK (p)  RON CARTER (b)
*BOB CRASHAW (b)  ROY McCURDY
with THAD JONES (cor)

1964

世評というか風説に惑わされて本作を甘く見てはいけない。30才半ば、壮年期のロリンズの筋肉質のテナー・サウンドが堪能できます。ジャズメンのオリジナル作ばかりを集めたこの作品の最大の聴きものはモンクの‘Round Midnight'。
えぇー? ロリンズが‘Round Midnight’を演っているの?と思われる方が少なくないのではないでしょうか。4分弱とやや短いながらこの演奏は、マイルスのそれに勝るとも劣らぬ知られざる名演です。bとdsのスタートにワンテンポ遅れて絶妙のタイミングで入るロリンズのts、肝っ玉まで鳴り響きます。具体的に言えば、部屋の窓ガラスがビビります。もし、そうならなかったとしたら、二つの原因が考えられます。
一つはレコード盤が国内盤、或いはRCAのオレンジ盤(再発盤)、もう一つはオーディオ・システムの調整が上手くされていないかです。くどいようですが、本作もドッグ・ロゴ・マークのDYNAGROOVE盤でないとロリンズの凄みのあるtsは充分に伝わってきません。またシステムのトータルのチューニングの差に大きく影響されます。なお、エンジニアは「RAY HALL」
中身が本当に良ければそんな事は関係が無い、とお考えの方は一笑されたし。されど、探究心を少しでもお持ちの方は是非、試みてみてください。ジャズ・スタンダード・ナンバーを豪放磊落に吹き上げるロリンズ、お見事!としか言いようがありません。ただ、このアンニュイな雰囲気が堪らない‘Round Midnight’がB面ではなく、A面に入っていたならば、そしてもし、曲の配列が下記のように変わっていたならば、、一般的な本作への印象がかなり違っていたのではないでしょうか。いずれにしてもRCA時代のロリンズは風説を遥かに超えた存在です。

    A面                        B面              
Afternoon in Paris               Four
Round Midnight                 I Remember Clifford 
Now's the Time                 St.Thomas
Fifty-Second Street Theme         Blue' n' Boogie

ps 24bitマスタリングされたCD(紙ジャケット)盤は、本作の「音」をかなりイイ線まで甦らせています。僕は、CDで聴く時はプログラム操作で上記のA面とB面に変更しています。


(11/1)

vol.3

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