ちょつと一息


(5) ジャケット雑学 vol.1

僕は不真面目なレコード・ファンで、しかも中途半端なオーディオ・ファンなので、再発ものを随分持っている。特にジャズを聴き始めた60年代後半から70年代中盤にかけて集めたレコードの大半はそうであった。当時、廃盤状態のレコードを手に入れるには、それしか手段が無かったし、知らなかった。勿論、懐具合が最大のネックであったが。

さて、このエバンスの2枚は、70年前後にドイツabcから再発されたアメリカ産リバーサイド原盤の内のもの。この他にも確か、モンクとかロリンズのものもあったが、全てご覧の通りジャケットが変わっていて改悪以外何ものでもなかった。モンクの‘ブリリアント・コーナーズ’は‘マイティ・モンク’(?)のタイトルで最低のジャケツトだったので、暫くしてオリジナル・ジャケットの2ndプレス盤に買い換えたがこの2枚だけは、どういう訳かそのまま残してある。変わりジャケットも面白いと、思ったのかも知れないが、「音」もそれほど悪くなかったことが大きい。

今までにオリジナル盤に買い換えるチャンスは何度もあったが、不思議にその気にならかった。
あの頃、リバーサイドは日米ともにずっと廃盤状態が続いており、エバンスのレコードは喉から手が出るほど欲しく、淋しい財布とにらめっこしながら手に入れた感傷的な気持ちが思い留まらせたかもしれない。

これは、‘脚立のケリー’のジャケツトでお馴染みの通称‘ウィスパー・ノット’で知られるW・KELLY(RLP12-254)がサブ・レーベル‘JAZZLAND’で再発された時のジャケット。雰囲気はこちらの方が良く出ていて好きです。
僕が所有しているのは、64年(?)、リバーサイドが破産した後、一時出廻ったOrphuem盤です。正規物のジャケツト及びレーベルにある「BILL GRAUER PRODUCTIONS」の代わりに「Orphuem Productions」と記載されています。Orphuem盤の「音」は再発ものとしては優秀なレベルでありながら、価格が手頃なので大変ありがたい。
しかし、このSTEREO盤の「音」はいただけない。1958年録音なので、まだ技術的に未熟だったのか、ひょっとしたら擬似ステレオ化したのかもしれない。このジャケットで手に入れるとすれば「BILL GRAUER PRODUCTIONS」盤か、Orphume盤のモノラル盤をお薦めします。でも、有るのかなぁ

BILL EVANS

WYNTON KELLY

この‘KELLY BLUE’も70年代初頭に出回った日本製?海賊盤の内の一枚。出所不明のふれ込みであったが皆、知っていました。他にもエバンスの‘Walze For Debby’、‘Portrtait In Jazz’とかグリフィンの‘The Little Giant’など日本の当時のマーケットにドンピッシャリのラインナップでした。
その中で、どうした訳か、本作だけジャケットがオリジナルと異なっていた。構図はなんとなく似ているが全く違います。それにケリーが着ているジャケットはオリジナルカバーのものではなく,なんと67年録音の‘FULL VIEW’(Milestone)のアルバム・カバーで使用されている物とよく似ている(同一に見えますが)。何処かで何かが繋がっていますね。
このシリーズは「音」がいまいちで(ディスク・ダビング?)、‘The Little Giant’なんか聴覚障害にでもなるかも、と思うほど悪かった。
ただ、‘KELLY BLUE’だけはまだマシだったので、ずっと残してあります。

本来は、「BILL GRAUER PRODUCTIONS」と記載されている部分が銀色で消されています

本当のレコード・マニアであれば、これらのものは、全部オリちゃんに買い換えているべきなんですが、意気地のない僕は青春時代の「ひとつの思い出」と偽って大切にしています。
宝くじでも当らないかなぁ。


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(8/9)

* あるレコード・コレクター(かなりのマニア)の方からモノラル盤(オレンジ)を持っている、とのメールを頂きました(8/10)。
 やはり、有るのですね。うーん、また、宿題が増えてしまいました。
 〇O〇さん、ありがとうございました。 (8/12)

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