(4) CDエッジ・カッター
WALTZ FOR DEBBY / BILL EVANS
言わずと知れた名盤である。久しぶりにCDショップを覗いてみたところ、本作のXRCD盤が紙ジャケのコーティング加工された新ヴァージョンで発売されていた。XRCD盤は、以前、一度買ったみたが、大人しい「音」で、ジャズには、やや、不向き(個人的に)ではないか?と考えていたので、躊躇したが、技術の進化により、変わっているかもと、期待して購入してみた。
なお、レコードでは、Orphuem盤で持っておりますが、スタンパーはオリジナル盤と同じで、音質もそれに近いようです。
さて、このXRCD盤、やはり、前と同じ結果でした。ただ、僕の安物プレイヤーでは、その良さが発揮できないのではないか、と思い、日頃からお世話になっているオーディオ・ショップで確認しようと、持ち込んでみました。
ところが、なんと、ドイツ製のCDエッジ・カッターなる音質改善・秘密兵器が導入されていたのであります。そこで、早速、今、はやりの‘ビフォー・アフター’を試みることになり、未処理盤を聴いてみると、ここでも、同じ結果でした。
さて、処理後のXRCD盤は、どうかと言うと、これが驚き。まるで、もやか霧が晴れたように音場がスカッとして、それまで、眠っていたエバンスのpが起き出し、ラファロのbが生き物のように弾きでるは、モチアンのブラシが浮き上がるは、イヤー、参りました。
つまり、「音」が精気を取り戻したのです。違った表現をすると味気ない蒸留水がうまいミネラル・ウォーターに生まれ変わったとでも言えるのではないでしょうか。また、処理に来ていた先客のお二人と一緒にその効果を確認できたわけです。
VICJ−61060
本作品は、アナログ時代からライブ物の好録音として定評のある盤でして、ある人に言わせると、「観客のグラスの中の氷が割れる音、そして、テーブルから落ちて床を転がるコインの音まで聴こえる」そうです(アナログ盤)。
もちろん、僕のオンボロ装置では、聴こえません。悔しいー。
帰り道、「やれやれ、これでこのCDをまた処分しなくて済んだ」とほっとしたした瞬間、僕は複雑な思いに駆られました。
要するに、次々に高音質を謳うCDが出てくるのは結構なことであるが、信号面のエッジを36度の角度で削ると、こんなに「音」が変化するとは、CDの「音」は信頼できないなぁ、アナログのカートリッジや、シェル、リード線等を替え、自分の好みの「音」に絞り込んで行く世界と、とこか違う、と思ったわけです。
まぁ、あまり深く考えず、「音」にご不満のCDがあれば、一度、試してみるのも価値がありそうです。
(7/6)