CORAL CRL 57118
(6) AL COHNの隠れ名盤
THE AL COHN QUINTET
BOB BROOKMEYER (v-tb) AL COHN (ts) MOSE ALLISON (p)
TEDDY KOTICK (b) NICK STABURAS (ds)
1956
「レコードはジャケットで買え」の諺とおり、中身知らず、聞かずで手に入れたレコード。少しボケ気味なところが妙に雰囲気を醸し出している。コーンといえば、いつも、ズートとのコンビで語られるケースが多いので、単独でのレコードを捜していたところ本作に出会った。
Dawn盤の陰に隠れて、知名度は低いが、思わぬ掘出し物でした。
作・編曲での才も高いだけに、ブルックマイヤーとのユニゾン、オブリガードの掛け方、それから、アリソンのpの入り方、b、dsのレスポンス等、よく練られていて、片面6曲ずつ、計12曲という多さを全く感じさせない。
それもこれも、COHNのソフィスティケーテッドされたレスター流tsに依る所が大きいが、ボブのバルブ・tbもなかなかの冴えを聴かせていますし、リズム・セクションの粋なサポートも聴き逃せません。
全篇に渡って心地よいサウンドが展開される中、本作の美味しさは、COHNのオリジナル、3曲と魅惑的なメロディで知られるバラード‘I should care’、そして、スインギーなボブのオリジナルへ続くB面の2曲目からです。
さて、2、3日前、本屋で最近、もの書屋で鳴らしている方の本を立ち読み(イケマセンネ)してたら、本作が採り上げられていました。褒められていたが、その内容に驚いた。
「COHNのtsが見事に野暮ったい。ボブのtbに到っては、ボブ、その人自体が冴えなく、野暮ったさを・・・・・・(絵に描いたようだ)」と書いてある。僕とまるで反対だ。人それぞれ、どう感じようが別段、問題は無いが、「ボブ、その人自体が冴えない」とは。いったい、どうして付き合いの無いはずの他人の人格まで判るのでしょうか。
また、「‘ア・ブルース・セレナーデ’の官能的なtsに驚いた」と言っているが、「見事な野暮ったさ」はどう転んでも「官能的」にはならない。適切な表現ではないが、‘田舎の野暮ったい、否、失礼! 素朴な娘’が突然、‘官能的な娘’になることなんぞ、無い。そう思うのは、エロおやじだけです。単なる言葉のお遊びは止めてもらいたい。
それから、もう一つ、「人間、好みも変わるし、耳も進歩するから仕方がない」と厚顔ぶりを露呈している。そうすると彼の著書は、総て好みのレベルという事です。それはそれで良いとしても、「気まぐれ」を「進歩」という言葉に置き換える言い訳だけは願い下げですね。
ま、そう目くじらをたてることもないかも。
(2003.7.17)