呟   き





 
 

(23) ジャズが一番幸せな一夜だった・・・・・・・



 




 



MONDAY,ANOTHER MONDAY NIGHT AT BIRDLAND

 ROULETTE YW 7514、7813 

1958. 4. 22



 

もう彼これ、20年近く?前でしょうか、仕事の関係で、よく東京へ出張し、帰りに廃盤屋に立ち寄るのが、楽しみだった。ある日、新大久保?のある店に行った時の事、「新着コーナー」で、この‘MONDAY’のオリジナルを見つけたが、カヴァがかなり傷んでおり、悩んだ末、元に戻し、違うエサ箱を物色していると、一人の男が入ってきて予想通り「新着コーナー」をさぐり出し、なんとその‘MONDAY’を小脇に抱え込んだ。どうするのかな?と横目でチラチラと見ていると、サッとレジに運んだのである。瞬間、後悔の念が走ったが、「ま、いずれ、・・・・・・」と考え直した。
それから、半年後、違う円盤屋で‘MONDAY’をまた、見つけたが、今度は盤がダメでした。ところが、丁度、その店に、国内盤で、‘MONDAY’と‘ANOTHER’が揃って置いて有り、これも何かの縁と思い、購入し、現在に至っている。
 
 
 
パーカーに名に因んだこのジャズ・クラブ‘BIRDLAND’は1949年暮れにブロードウエイ52丁目にオープンし、1965年に閉店するまで、文字通り、ジャズのメッカとして、世界中のファンから愛された。1986年に場所を106丁目に移し再開、さらに44丁目に移転している。
 
 
当時、バードランドは毎週、月曜日をレギュラー・バンドの休日に当て、新人たちのジャム・セッションに開放しており、この二枚もその機会にレコーディングされたもの。
 
 

一集の‘MONDAY’は‘Walkin'’、‘All The Things You Are’、‘Bag's Groove’、‘There Will Never Be Another You’とジャズ・ファンなら誰でも知っているナンバーで固め、二集の‘ANOTHER ・・・・・’は、4曲中、メンバーのフラー、モーガンとD・ベストのオリジナルを一曲ずつ配し、それなりに趣向を凝らしています。
自分の好みでは、断然、二集ですね。


前置きが長くなりましたので、結論を急ぐと、この二枚のレコードの聴きものは、スバリ、モーガンのtpです。

そして、聴き所はモブレーとルートのts聴き比べですね。このふたり、本当にスタイル、音色がよく似ているので、初めて聴くと、どちらか、解らなくなります。ただ、マイルドで独特の節回しを聴かせるモブレーに対し、エキサイトするとワイルドさを聴かせるのがルートと思えば、まず、間違いありません。ルートはこうしたスモール・コンボでのソロを充分に聴く機会がそれほど多くないので、貴重ですよ。浅学で申し訳ありませんが、R・ロドニーの‘RETURNS’位しか直ぐに思い出せません。



で、モーガンです。全八曲、全てに於いて、すばらしいです。 もし、「モーガンで、何か一枚を・・・・」と訊かれたら、この二枚を躊躇なく、薦めます。「何をバカな!」笑われるやもしれませんが、独断と偏見で言わせていただくと、これほどまでに、自然体で己の天分をストレートに発揮した演奏は、他には見当たらないのではないでしょうか。
中でも、二集‘ANOTHER ・・・’の二曲目、フラーのオリジナル‘Jamph’でのソロはどうでしょう!!!
音色、歌心、テクニック、そして、豊かなイマジネーション、もぉ、パーフェクトですね!!!!


モーガン、この時、まだ20歳になったばかりとは!いやはや早熟ですなぁ。


ライブ録音なので、ブライアントのpが全般に亘って、フラーのソロも曲によって、ややOFF気味ですが、それを忘れさせる好演揃いです。



それにしても、MCを務める人気DJ男、シッドのドスの利いたダミ声も含め、「ジャズが一番、幸せな一夜」だった事は、疑いのない事実ですね。




(2011. 1. 9)


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