呟  き




  

(21) 天国では恩讐を超えて?

 



HOMECOMING / DEXTER GORDON


COLUMBIA PG 34650

 
DEXTER GORDON (ts) WOODY SHAW (tp,flh) RONNIE MATHEWS (p) STAFFORD JAMES (b) LOUIS HAYES (ds)

Live at the Village Vanguard  1976. 12. 11&12




70年代半ば、さすがのフュージョンにも陰りが見え始め、バップ・リバイバルの動きが活発になり、アメリカ建国200年に当たる1976年は、TVドラマ「ルーツ」も話題となって、空前のリバイバル・ブームに沸いていた。そんな折、ヨーロッパから帰米したゴードンは、三顧の礼をもってCBSコロンビアに迎えられ、最高の条件で契約したそうです。
その第一弾が本作。CBSコロンビアの新社長になったばかりのB・ランドヴァルはこの第一作を必ず成功させるために、当時、NYで、かなり評判となっていたSHAW−HAYES・QUINTET(tsがR・マクリーン or J・クック)をベースに、Village Vanguardでの二枚組ライヴもので発表、という、最大の努力を払った。まさに「ホームカミング」ですね。

そして、プロデューサーにM・カスクーナを抜擢している。そうした用意周到な準備が整った本作、燃えないワケはありませんよね。


TOPに配された‘GINGERBREAD BOY’での気合いが入ったDEXのブローを聴けば一聴了然です。けれども、本作が成功した理由はDEXの好調さはともかく、やはり、SHAWとそのグループの安定したバッキングに支えられていることは言うまでもありませんね。ショーのオリジナルが2曲、マシューズが1曲入っていることからも本作の性格を窺わせます。

レコードでは一面それぞれ2曲ずつ、計8曲バランスよく配置されていますが、ゴードンの‘FENJA’とショーの‘IN CASE YOU HAVEN'T HEARD’が収録されたSIDE TWOが一番聴き応えがあります。‘FENJA’ではミドル・ファストのテンポに乗ってゴードン節が冴え渡りますね、やはり奥さんに捧げた曲だけに。だが、後を引き継いだショーが、真に素晴らしくしなやかソロを取ります。ショー、屈指の名ソロの一つでしょう。

それから‘IN CASE YOU HAVEN'T HEARD’ではソロに入って、一転して、驚くほどモダンなDEXのパフォーマンスが白眉です。その後のショーとヘイズのコンビネーションの良さも言うまでもありません。

もし、SIDE ONE〜FOURで一面だけ聴くとすれば、TWOで充分ですが、FOURに収録された‘ROUND MIDNIGHT’もなかなかGooですね。スローものでのDEXの持ち味が十分引き出されいますが、ここでもショーのスムーズなflhがこの名曲を更に魅力あるものに仕上げている。うぅーん素晴らしい!


ゲート・ホールドのアルバム・カヴァを開くと、左上に、‘DEXTER GORDON VILLAGE VANGUARD ALBUM Featuring Woody Shaw’とクレジットされていますが、
GORDONとSHAWの名を差し替えても、決しておかしくないアルバムです


本作で大成功した後、スタジオ録音された第二弾‘SOPHISTICATED GIANT’は10万枚近く売れたそうですが、個人的には?ですね。
ショー無くして、ゴードンの華々しいカムバックは有り得なかった、とはチト、言い過ぎでしょうか。
 


1989年5月10日、44歳の若さでショーが、また、翌1990年4月25日、ゴードンもこの世を去った。享年67歳。


 

(2009.9.10)


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