呟 き


CURTIS FULLER  (tb)  LEE MORGAN (tp)  HANK MOBLEY (ts)
TOMMY FLANAGAN (p)  PAUL CHAMBERS (b)  ELVIN JONES (ds) 

UAL 4041

(2)

忘れられた「モダン・ジャズ名盤蒐集会選定」レコード

SLIDING EASY / CURTIS FULLER

1959

UNITED ARTISTS

これは、由緒ある?レコードである。60年代初めと思うが、野口久光氏、藤井肇氏、油井正一氏、植草甚一氏、というジャズ評論界、大御所四人で構成される名盤蒐集会が毎月、2枚のレコードを選定、推薦していた。

今と違って?まぁ、かなり吟味されていたと思いますが、特定の国内盤だけなので厳密な意味では、やや守備範囲が狭かった。このレコードは、62 or 63年に、選定されていたことを何かの雑誌で知ったが、聴く機会は無く、その後、ずっと廃盤状態が続いていたこともあり、70年代半ばにようやく再発された時、初めて耳にした。

僕は、このレコードが記念すべき第一回目の選定盤とばかり思い込んでいたが、どうやら、違っていたようだ。それはともかく、フラーの名盤と紹介されるのは、いつも「bluesette」、「south american cookin’や「boss of the soul−stream trombone」ばかりでいつのまにか、この選定名盤は忘れられてしまった感がある


さて、中身は、どうかと言えば、やはりイイんだな、これが。なにせ、メンバーが素晴らしい。バリバリのイースト・コースト派が勢ぞろいし、特にリズムセクションに注目が集まる。編曲は、G・グライスが2曲、後の4曲をゴルソンが受け持っている。
ゴルソン・ハーモニーを兎角言う人がいるが、スノビーな人ではないのかな。このレコードを聴くと、そんな先入観は無くなるかも知れない。

聴き所の多いなか、バディ・ジョンソン作のバラード
‘I Wonder Where Our Love Has Gone’でのフラー、畢生の名ソロが堪りません。‘愛は何処へ’、原曲以上に哀愁を切々と歌い綴るフラー、見上げたものです。その後に続くフラナガンのピアノも絶品。この一曲のために、僕は、大枚を叩いたのである。今まで、集めたレコードの中で最高額かな。

と言うのは、国内で再発されたレコードは、、この曲のフラーのソロの出だしで「音」が恐らくマスターテープの劣化と思うが、‘揺れている’のだ。再発される毎に買ったが全部‘揺れている’のだ。もう「オリジナル」を手に入れるしかないと決心し、都内の廃盤屋で偶然見つけ、帰りの新幹線代を残し買ったが、他にも数枚購入していたため本当に財布が空になった。
その「オリジナル」はフラーの名ソロを心の中まで染み込ませくれた。その数年後、また、オリちゃんに出会い、迷うことなく買った(最初の7掛けのプライスで)。そして、その後、国内盤のファースト・プレス盤をえさ箱で発見、これも躊躇うことなく手に入れた。もう病気だね。

だが、こうなるのも理由があるのです。このレコードはマスターテープの致命的な劣化のため、CD化はまず、ないであろう、と思ったからです。僕の記憶では、CDは出ていないと思いますが、どうなんでしょう?

国内ファースト・プレス盤

センターレーベル

ライナーノーツより


*訂正 70年に一度再発がありました。

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(2003. 2. 7)