呟 き

WOODY V / WOODY SHAW

CBS COLUMBIA  JC 35977

*WOODY  SHAW (cont flh)   CARTER JEFFERSON (ts) JAMES SPAULDING (as)
RENE McLEAN (as)  CURTIS FULLER (tb)  STEVE TURRE (tb)  CHARLES SULLIVAN (tp)
ONAJE ALLAN GUMBS (p)  BUSTER WILLIAMS (b)  VICTOR LEWIS (ds)
AZZEDIN WESTON (congas percussion)  NOBU URUSIYAMA (percusion)     

*WOODY  SHAW (cont)  JAMES SPAULDING (as)  RENE McLEAN (as)
ONAJE ALLAN GUMBS (p)  BUSTER WILLIAMS (b)  VICTOR LEWIS (ds)
*WOODY  SHAW (flh)  GEOGE CABLES(p)  BUSTER WILLIAMS (b)  VICTOR LEWIS (ds)
*WOODY  SHAW (cont)  CARTER JEFFERSON (ts) ONAJE ALLAN GUMBS (p) 
BUSTER WILLIAMS (b)  VICTOR LEWIS (ds)

悲惨な最期(89年5月)を遂げた男、ショーにも短いながら幸せな時もあった。D・ゴードンのサイドマンとしてCBSにレコーディングしたプレイを認められ、メジャーと契約し、1作目の‘ROSEWOOD’が高い評価を受け、2作目は念願の自己のクインテットを率いて「ヴィレッジ・ヴァンガード」での熱いライヴと、ようやく彼にも陽が当たるようになった。そしてジャケットにWOODY家三代が写る3作目‘WOODY V’こそ初めて訪れた幸福の瞬間だったかもしれない。しかし、この後、何年かして巡演で家を空けたショーに悲劇が待ち受けていたのである。その過程と真相は定かではないが、信頼していたかってのボス、ゴードンに妻と最愛の息子(写真)を奪われたのである。絶望のなか視力の弱い目で二人を捜し求めて町を彷徨うショーの姿が目撃されたという。葬儀の際にも夫人の姿はなく、いまだに消息不明?という。翌90年4月、ゴードンもこの世を去った。

1978

前作の未発表曲、一曲(ラスト)を含む本作はA面にWOODYT、U、Vといった組曲を配した大作。大作といっても、かってのような問題作風ではなく時代を反映して聴きやすい仕上げになっている。コンガ、パーカッションを加えた豪華なゲスト陣による色彩感溢れるサウンドのなか、ショーのコルネットは力強く鮮やかに、フリューゲルホーンは豊かな音量でしなやかに響き渡っている。以前のコンテンポラリー、ミューズ時代の鋭さにも線の細さを内包していたプレイと違って実に堂々と一流プレイヤーとしての自信に満ちている。コンボ・スタイルのB面はさすが長年に亘って積み上げてきたキレのあるソロを炸裂させ、、ラリー・ヤングに捧げた自作の名曲‘Organ Grinder’ではビートに乗って心地よいflhを聴かせてくれます。

これまで、2回、生のショーを見ています。最初は何年か失念しましたが、S・ターレ(tb)、M・ミラー(p)を擁したクインテットと86年の第一回Mt..フジ・ジャズフェステバル。ソロの後、tpを両手で捧げるようにして拍手に応えるショーの姿を忘れることはありません。

聞くところによると、ショーのCBS時代の作品が進んでいないようです。事を起こしたゴードンも当時CBSと契約しており、推測で言ってはなんですが、もし、これが原因でCBSがCD化を躊躇っているとしたら、ショーはなんと哀れな男なんだろう。
最近、続々と発刊されるジャズ本でも全く(たぶん?)ショーの作品について触れられていないと思います。薄情なもの書き屋ばかりだ。
あぁ、またグチってしまった。
当HPでは、これからもショーの作品をできる限り多く紹介して彼の冥福を祈りたい。


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(2003/12/03)

* 紹介済みの作品はARTIST INDEXでどうぞ

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UNITED / WOODY SHAW

CBS COLUMBIA  FC 37390

WOODY SHAW (tp flh) STEVE TURRE (tb) MULGREW MILLER (p)
STAFFORD JAMES (b) TONY REEDUS (ds)
* GARY BARTZ (as)

1981

大きくなった3世(V)を見つめるこの妙にシンプルなアルバム・カヴァとタイトルからは、その後の悲劇を想像することはできない。本作はCBSにおけるSHAWの最終作(5作目

当時のレギュラー・グループにかっての盟友、G・バーツが2曲に加わっている。二人は、60年代終わりにバーツと結成した‘NTU TROOP’のメンバーとして‘HOME!’(Milestone MSP 9027)<1969>を録音している仲でもある。

さて、タイトルになったW・ショーターのオリジナル曲‘United’からスタートする本アルバムは前作(FOR SURE!)、前々作(WOODY V)のような明確なアルバム・コンセプトがない分、ストレートなショーのtpが楽しめる。あまり大上段に構えた聴き方よりも、時代にいつも正面から向き合ってきたショーの基本的なスタンスを聴き取るほうがよさそうだ。

今でも「過小評価」と言うより「不当評価」の扱いを受けているショーだが、理論家で知られる「四谷の御仁」はかって彼のレコードのコメントで
「ショーはフュージョンを演らなかったから、人気が出なかった」と、述べられている。じゃー、フュージョンを演ったら、そのジャズマンに人気が出たのか?なんて野暮な突っ込みはしないが、必ずしもそうはなっていないはず。問題は、評価と人気は本来、別次元であるべきジャズ・ジャーナリズムが、此処最近、同次元で語られるケースが多い傾向にある点ではないでしょうか。その端的な例が、巷に氾濫している「ジャズ初心者のためガイドブック」だ。
例えば本作を紹介している本など皆無である。CD化されていないという理由は理由にならない。それとも紹介するに値しないとでも言うのだろうか?

このレコードは、正統派モダン・ジャズトランペッター、WOODY SHAWを知るには最適な一枚である。

本作でのショーのtpは、録音のせいか、いつになくリッチで艶やかな音色で鳴っている。経済的にはこのCBS時代が一番恵まれていただろう。実にしなやかなフレージングがそうした背景を浮かび表しています。マシューズとの共作‘Blues For Wood’での軽やかにして自信に満ちたプレイに、つかの間の栄光に包まれたSHAWの姿が浮かび上がる。


(2005. 9. 3)

(10) 憎しみとともに消えていった悲哀のトランペッター WOODY SHAW