ちょっと一息 (20) 


劇的に「音」が良くなった SOUL TROMBONE , WITH RED GARLAND / CURTIS FULLER


















先月、コンセントBOXを2台、自作して、ヒアリングを重ねた結果、FIM(左)はそのまま、もう一つ(右)はHUBBELLをクライオ処理したものに落ち着きました。FIMはやはり、メタルのプレートではなく、純正のプラの方が良いですね。見た目はメタルの方がカッコいいのですが。

で、HUBBELLのこのゴージャスなプレートはどうですか!
あるオーディオ・ショップのワゴン・セール(1,890円)でみつけた物。米国産で金属素材は不明、ただ、ずっしりと重いです。だからかもしれませんが、不思議?な事に、HUBBELL純正のメタル・プレートよりこちらの方が「音」が良い。











壁コンセントは従来のまま。
 

今ではすっかり古典タイプのPAD・CRYO−L2です。


それを、黒檀とメタルのプレートで二重補強している。
少々の揺れにもビクともしませんよ。


ここからFIMのBOXへはPS・オーディオのPrelude、そこからパワー・アンプへはAPIのケーブルを使用。
Preludeは以前、アナログには適さないと思っていましたが、エージングで変わりましたね。FIMとも相性、バツグンです。
 
 

もう一つは、マリンコ+SAEC(OFC)+フルテックをクライオ処理したケーブルで、ゴージャスなHUBBELL・BOXへ。そして、プリ・アンプ、フォノ・イコライザーへはそれぞれ付属のコードで繋ぎます。

 
 
使用しているコンセント、プラグ、ケーブル等、この世界ではエントリー・クラスばかりですが、それでも結構、「音」は変わりますよ。






では、どう「音」が変わった、否、良くなったのか、と言うと、まず、ダイナミック・レンジが広がった。つまり、強い音と弱い音の差がハッキリしたのです。要するに奥行き感が出て、彫りの深い立体感ある音場が生まれ、同時に音にエッジが立ち、輪郭が鮮明となりました。


そこで、今まで、フラーのtbの音が今一つしっくり再生出来なかったこの2枚(どちらもモノラル)を聴いてみました。
 






 

SOUL TROMBONE / CURTIS FULLER

IMPULSE A-13


FREDDIE HUBBARD (tp) JIMMY HEATH (ts) CURTIS FULLER (tb) CEDAR WALTON (p) JYMMY MERRITT (b)
 G.T.HOUGAN,JIMMY COBB (ds)


1961.11.15〜19


フラーがジャズ・メッセンジャーに在団中に仲間のハバード、ウォルトンと録音した作品。‘THE JAZZ CLAN’とは、当時、フラーが率いていたグループのようですが、浅学で詳しい事は分かりません。

本作の録音はステレオはFRANK ABBEY、モノラルはBOB ARNOLDと別々のエンジニアが務めており、ラン・オフの部分にRVGの刻印があるので、カッテイングはゲルダーが行っている。そうした事情からか、フラーのtbが聴き慣れている「音」とやや異なり、何となくオブラートに包まれたように聴こえます。

で、今回、聴き直してみると、パーフェクトとまでは行かないもののもう一歩の線まで改善されました。音圧もちょっと高まり、エネルギー感もアップしています。また、ブライト感も増し、特にハバードの耳に突き刺さるようなブリリアントな音色と天衣無縫なソロ・ワークが聴きものです。
A面TOPの‘THE CLAN’でのフラーのソロも気合十分ですね。自分の好みでは‘THE BREEZE AND I’と‘DEAR OLD STOCKHOLM’が収録されたB面を回す回数が多いです。





 
 

 
  

WITH RED GARLAND / CURTIS FULLER

NEW JAZZ (STATUS) 8277


CURTIS FULLER (tb) SONNY RED (as) RED GARLAND (p) PAUL CHAMBERS (b) LOUIS HAYES (ds)


1957.5.14


フラーの初リーダー作‘NEW TROMBONE’から僅か三日後に吹き込まれた作品。レコードbゥら推察できますが、5年後の1962年にリリースされている。

手持ちのこのレコード、無粋なシールが堂々としかも横向きに!日本では到底考えられませんね。フロント・カヴァはNJですが、リアでSTATUSとクレジットされているのでカヴァは再発もの、では、レコード本体はどうだろうか?
一応、NEW JAZZラベルだが、溝なしです。8247(LOOKING AHEAD / KENMcINTYRE)は溝あり(1960年リリース)を確認していますけれど、・・・・・・・・・

本作もゲルダー録音でRVGの刻印もありますが、フラーのtbの「音」が、まるで花粉症の鼻づまりのように冴えない。だから、再発盤と決め付け、入手後、ほとんど聴いていませんでした。そこで聴き直してみると、かなり解消されたたものの、他のメンバーの「音」の向上とはかなり差があります。

そもそも、NEW JAZZのゲルダー録音盤はざっくりしたやや粗めの音質ながら、ハード・バップの持つエネルギー感をたっぷり含んでいるハズなのに、少なくとも本作のフラーにはやや物足りなさを感じます。
 
でも、仮に2nd盤としても、どうしてtbだけが鼻づまり音なのかなぁ、といろいろ考え、ハタと思い付きました。本作のフラー、ひょっとしてミュートを付けて吹いたのではないでしょうか?

そこで、ちょっと調べてみると、ありました。「バケット」というミュートです。あくまで推測ですけれども、もし、そうであるならば、納得できます。
また、‘SOULTROMBONE’でもそうかもしれません。
 
ところで、本作は一応、フラーの名義になっていますが、同じ新人のS・レッドのasが大きくフューチャーされ、持ち味を存分に発揮しており、フラーとレッドのダブル・ネームでもよかったのではないでしょうか。



今回、自作のコンセントBOXとケーブルの組み合わせを変えたところ、フラーの2枚だけでなく、他のレコードで検証した結果、間違いなく「音」が劇的に向上しました。ややオーバーな表現ですが、これほどとは思いませんでした。「たかがコンセント、ケーブル、されど・・・・・・・・・」ですね。




(2012.5.19)



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