ちょっと一息 (19)   BLUE NOTE であって BLUE NOTE ではない?UA盤


 




 
 




PROFILE / DUKE PEARSON

BLUE NOTE  4022


DUKE PEARSON (p) GENE TAYLOR (b) LEX HUMPHRIES (ds)

 1959. 10. 29
 


D・バードの人気作‘FUEGO’(4026)でレコーディング・デビューしたピアソンが3週間後に吹き込んだ初リーダー作。その、また3週間後に、早くも2作目「テンダー・フィーリン」を録音するといったスピード出世である。しかも、‘FUEGO’よりも早い番号も付いている(リリースも早かったのでは?)。

このトリオによるリーダー作、二枚は、どちらかと言えば、ホーン陣が活躍するイメージ・キャラクターが強い「ブルーノート」の中では地味な存在で、あの「幻の名盤読本」に「テンダー・フィーリン」が掲載されるまでは、通の間で密かに愛聴されていたようです。


本作は「テンダー・フィーリン」と比べると、「幻の名盤読本掲載」という葵の御紋の威光がないせいか、認知度、人気度では、かなり差を付けられていますが、自分の好みでは遥かに本作ですね。特にA面、‘Like Someone In Love’〜‘Black Coffee’〜‘Taboo’〜‘I'm Glad There Is You’、一連の選曲が実に巧妙で、ピアソンの「スイスイSwing」も絶好調ですね。


所有するこの「プロフィール」は、70年代後半?一時、ユナイテッド・アーティストから「直輸入盤」として発売されたもの。ラベルはオタマジャクシではなく、あのお馴染みの白&青です。何故か、ステレオではなくモノで出た所がミソです。


で、本題に移ると、レコード本体は二束三文の価値しかないこのUA盤ですが、「音」、特にピアソンのpが、BNの「音」、つまりRVGの「音」ではない所が面白い。聴き慣れたBNの音と異なり、pの音にブライト感、華やかさがあるんです。確かめてみると、ゲルダーがカッティングをした際の印がラン・オフの部分にありませんでした。昔から、BNに於けるゲルダーのpの「音」の特徴は「重み」がありました。

それに応えたのかどうか、定かではありませんが、UA盤のピアソンのpの音はちょっとオーバーな表現をすると、「軽妙」で、ピアソンの本質からすれば、ポジティヴの方向に向かっている、とも言えます。



いずれにしても、本作を再発する際、カッティングをしたエンジニアは邪道かもしれませんが、粋な計らいをしたものですね。
但し、あくまでも独善的な聴き方なので、オリジナル盤でも、ブライト感を持たせていたならば、どうぞ、お許しを・・・・・・・・・




(2011. 1. 25)



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