(3) ロゴマークを消されたレコード
MILES IN BERLIN (Columbia [GERMANY] S−62976)
ある日、レコード屋から、‘マイルスのドイツでのライブ物が入ってくるけど、予約されますか?’という連絡が入った。聞くとショーターが加入して初めてのもの、と言うではないか、即、‘OK’を出し、手に入れた代物。
ところが、ジャケットの左上(裏側の右上にも)と、レーベルの両面にも酷い黒いシールが貼ってあるではないか!剥そうとしたが、上手くいかず(名残が少し)、ジャケットを傷めてしまいそうなので、止めた。要するに「Columbia」とあの「eye」ロゴマークをシャット・アウトしてあるのです。
この時代、輸入レコードを集めた事のある方はご存知と思います。詳しい事までは、判りませんが、「日本コロンビア」の登録商標に抵触すると言うので、正規のルートで新品扱いで輸入されたレコードは、この被害?に遭っようです。他にも「RCA Victor x 日本ビクター」の場合が同様でした。シールの他に、黒マジックも使われ、小さなロゴネームなんかは、カッター・ナイフで切取られていました。
いくら法律?と言えども、なんと無粋な事か!「日本製品購買促進運動」だって!恐れ入りました。
しばらくして、国内盤が発売され、活字による賞賛の雨、あられ。こちらは、既に聴いていたので、結構、クールでした。同時に手に入れた方達の感想(そのレコード店の人から聴いた話)も、いま一つでした。確かにピーンと張りつめた緊張感は悪くはないが、御大マイルスのプレイは、なにか、練習しているみたいで、同じようなフレーズがやたら、多い、との感想が多かったと記憶してます。ぼくも同感でした。
それから、2,3年して、この「Made In Germany」が俄かに脚光を浴び始めました。マニアがこのファースト・プレスに目を付けたのです。アブナイ、アブナイ、手放すところでした。
急にこの無粋なシールが愛しくなり、演奏まで良く聴こえ始め、自分ながら、イヤな奴と思いました。
「RCA VICTOR」盤で被害に遭ったもの。随分買い替えしましたが、証拠?として一枚だけ残しておきました。黒マジック(右下)であの「ドッグ・マーク」と「VICTOR」が消されています。「RCA」は残っています。裏ジャケットも、「VICTOR」の文字は、カッターナイフで切取られ、レーベルはシールが貼られています。
* いつ頃、始まって、いつまで続いたかは、残念ながら知りません。