ちょっと一息 (18)   24KARAT GOLD CD ‘PORTRAIT IN JAZZ / BILL EVANS’のミステリー


 







    

 
  
 

これは、ずいぶん前に入手した輸入盤CD。24KARAT GOLD仕様という珍?CDです。当時、税抜き価格で4200円と結構していて、他にも何種類か、リリースされていましたが、結局、この一枚だけです。アナログ・オンリーのファンにはこのCDに何の興味もないかもしれませんが、実は「えぇっ?まさか」と驚くことが記載されているんです。
 
前回の‘THINGS ARE GETTING BETTER / C・ADDERLEY’の最後のほうに<MONO録音はHIGGINS、STEREO録音はFOWLERが担当している>と書き、大半の方が、「そんなバカな、何かの勘違いだろう」と思われたのではないでしょうか。そりゃ、そうでしょう。昔からHIGGINSで通っています?から。
それぞれ、専任のエンジニアが担当するって、例は少ないかもしれませんが、実例はありますよ。ただ、たとえ別々であっても、全てがきちんと明記されるかどうか、問題が無いワケではない。
では、この演奏の場合はどうでしょうか。まったく根拠がないわけではありません。

 



 
 
 

MONOもSTEREOも、HIGGINSに決まっているさ!そお、このレコードのオリジナルMONO盤に、Engineer:JACK HIGGINS (Reeves Sound Studios)とクレジットされている。また、僕は未確認ですが、STEREO盤にも恐らくそう記載されているでしょう?今まで、別々だ、なんて話、聞いたことがありませんから。

ところが、このGOLD CDの外カヴァとプラケースの下に封入されている下カヴァの二ヶ所にはなんと、Rcorded at Plaza Sound Studios,Rockefeller Center, NY, on December 28 ,1959,Enginner:Ray Fowler、とハッキリとクレジットされているんですね〜(下の画像では、ちょっと不鮮明ですが)。
 
 
 

      

                                                            外カヴァの拡大



このCDの外カヴァのおもて面に、‘FROM THE ORIGINAL MASTER TAPES’と‘BOOKLET INCLUDES COMPLETE ORIGINAL ARTWARK’と記載されているのですが、このCDカヴァの裏面は????? 所謂、オルフェウム盤のカヴァですが、エンジニア名が記載されているハズの中欄の一番下の部分が削除され、空白になっています。しかも、「枯葉」が5:22とMONO盤のままです。
実は、このカヴァと寸分違わない同じLPを持っています。70年代初めに出回った「海賊盤」と言われるブツ(その当時に購入)ですが、この「音」は決して悪くなく手放していません。
こうなると、このGOLD CDにつて、いい加減のようなイメージがでてきますが、外カヴァや本体には「枯葉」がSTEREOヴァージョンの6:00と記載され、製作姿勢は決していい加減ではありません。恐らく、オリジナルSTEREOカヴァを入手できず、止むを得ず、
準?オルフェウム・カヴァを使ったのではないでしょうか。


そこで、問題のSTEREO録音ですが、このCD製作会社(DCC Compact Classics)はオリジナル・テープ所有元のFantasyのライセンセスを得た際、ひょっとして、STEREOはFOWLERによって録音された何らかの証拠を得たのではないでしょうか。そうでなければ、HIGGINSのままにしているはずですよね。しかし、今度は録音されたとされる場所、Plaza Sound Studiosが問題になりますね。もともと、HIGGINSを中心にReeves Sound StudiosでFOWLERもRIVERSIDEのレコーディングを一緒にしていた間柄で、60年の初めにFOWLERが独立したとされます。

で、MONOとSTEREOが別々のSTUDIOで録音されたなんて、絶対あり得ないので、どこかで何らかの事実が隠されているのではないか。そこで、STEREO録音はFOWLERの手で行われたという前提で二つの仮説を立てて見ました。

一つは、やはり、Reeves Sound StudiosでMONOはHIGGINS、STEREOはFOWLERにより録音されたが、STEREO盤リリースの際、「枯葉」の収録時間は校正されたとしても、エンジニア部分の文字校正を忘れ、そのまま印刷されたのでは?でも、それでは、このCDに記載された録音場所はなんだろう。

もう一つは、59年12月28日には既にFOWLERは独立しており、不自然ですがここで、MONOはHIGGINS、STEREOはFOWLERにより録音されたが、何らかの理由、あるいは確認忘れのまま印刷され、そして、このCDの製作段階で判明したのでは?それとも、両方とも実はFOWLERが録音してたりして(ドキッ)・・・・・・・・・・・・



いずれにしても、この‘PORTRAIT IN JAZZ’は、まず先にMONO盤が、後からSTEREO盤がリリースされているので、この辺がポイントと思いますが、仮説を充分に立証できず、あぁ、弱ったなぁ〜。
それと、「枯葉」の演奏はSTEREO・ヴァージョンが一般的に紹介されているのに、オリ・レコードではMONOばかりが紹介されるという変則性が奇妙ですね。このあたりに、ナゾが・・・・・・・・・。もっと、突っ込んでみると、オリジナルSTEREO盤ってホント、レア盤じゃないのかな?
  



この記載の信憑性はいかがでしょうか?


真相は如何に?

 
 

なお、このGOLD CDの「音質」ですが、デジタル臭さが全くなく、そのリッチ感は、知らずに聴かされたら、まず100%レコードと聴き間違えます。ただ、テープ劣化による「音揺れ」等は残念ながら解消していません。でも非常によく出来た音ですね。



(2009.8.20)


BACK                       TOP                           NEXT