ちょっと一息       (16) SOUL TIME / BOBBY TIMMONS アメリカ盤とヨーロッパ盤

SOUL TIME / BOBBY TIMMONS

RIVERSIDE  RLP 334

BLUE MITCHELL (tp) BOBBY TIMMONS (p) SAM JONES (b)
ART BLAKEY (ds)

1960

ティモンズのリヴァーサイドにおける第二作目。御大ブレイキーがdsに参加、花を添えている。
ティモンズの代表作と言えば、どうしても同じリヴァーサイドに吹き込んだトリオ編成の<317>、<391>が挙げられるが、僕は本作が一番好き。

トリオ・ファンの方々には悪いが、ティモンズのpは元々、それほど表現力に巾も奥行きも有る方ではなく、LP一枚聴き通すにはちょっとシンドイ。適切な助っ人、それも最小限度いた方がティモンズのpも冴えてくると思う。それが本作のB・ミッチェル。勿論、ブレイキーの存在も大きいが、ここでは
希少価値?あるリーダーがピアニストのtp・ワンホーン・クァルテットが嬉しい(但し、一曲だけトリオ演奏)。
両者共に、それぞれ絶頂期だけに悪かろうはずがない。因みにミッチェルは本作の直ぐ後にあの人気盤‘BLUE’S MOODS’を録音している。なお、ティモンズのオリジナルが4曲、入っている。

端整ながらもキビキビとグルーヴするティモンズ、スケール感は感じられないものの、小細工しない正攻法でtpを鳴らすミッチェル、相性はピッタリ合っている。よくティモンズのpをアーシーとかファンキーと言うけれど、僕は結構淡白に聴こえるんですが。

ジャケ買いした一枚。左右の文字の多さが煩いと言う人もいるが、このシャイなティモンズのポーズを巧みにフォローしていると僕は思う。
最初に購入した盤は右のラベルのヨーロッパ・インターディスク盤(オランダ・メイド)。続いて手に入れたのが左のラベルのアメリカ・オリジナル盤?(ミゾが有るのですが、自信がありません)

インターディスク盤とは、話によると当時、リヴァーサイド(だけ?)が契約していたヨーロッパ専用販売代理会社(店)を通した盤との事。ジャケットと裏面のデザインはアメリカ盤と全く同じ。ただ、表面にコーテイングがかけられている。それと、裏面の左下に‘Distributed in Europe By INTERDISC’とプリントされてる。また、廃盤屋での値段も安い。

で、「音」はどうか?言うと、やはり、異なる。一番、違う点は「音圧(カッティング・レベル)」。インター・ディスク盤の方が「音圧」が高い。だから、アンプのヴォリューム位置がアメ盤と比べ低くていいワケだ。また、質では、ザックリ言ってインター・ディスク盤が「能動的」で伸びやかに対し、アメ盤は「受動的」でややタイトであるが、どちらも好録音盤である。エンジニアはRAY FOWLER、贅肉を落とした辛口派であり、もっと評価されていいエンジニアである。この人の録音の特徴はアンプのパワーをちょっと上げると、俄然、音の表情が豊かでリアリティに富んだ音に豹変する点です。
但し、僕のシステム上ですが。

何れにしても、情報によるとスタンパーはどちらも同じ(カッティング・レベルは無関係?)なので、この違いはレコード自体の材質の違いからくるようです。いつも聴くのはやはりインターディスク盤です。リヴァーサイド原盤の同じレコードでも、ものによってはヨーロッパ盤の方が「音」がイイという評判を時々耳にします。
本レコードもその一例なのでしょうか? ただ、モノラル盤での比較なので、ステレオ盤では違うかもしれません。


最後に中身はどうか?というと、これはイイ。「音」の良さも手伝って、熱気に満ちた充実した演奏が聴かれる。余談ながら、僕は人気盤‘BLUE’S MOODS’より本作の方が出来は上と思う。また、‘BLUE’S MOODS’のジャケットの評判も良いが、左手にタバコと一緒にケースも握っている所がなんか、・・・・・・だなぁ。

2曲のスタンダード・ナンバーも好演、特に‘You Don’t Know What Love Is’の淡々とした切なさはちょっとした聴きものです。
また、S・ジョーンズの素晴らしいbが上手く録られているので、ジョーンズ・ファン必聴?の一枚ではないでしょうか。

オリジナル盤?(アメリカ)

インターディスク盤(ヨーロッパ)


(11/17)

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