レコード・コレクターの中でも、特にヨーロッパ・ジャズのマニアの間では、舌を噛みそうな名の「サヒブ・シハブ」の作品は垂涎の的として人気が高い。
その代表盤が下の2枚、“JAZZ PARTY”(Debut/Fontana原盤)と“and THE DANISH
RADIO JAZZ GROUP”(OKTAV原盤)である。
先日、ふと、随分昔手に入れたSAVOY盤を思い出し、棚を探すと、有った。ジャケットを引っ張り出すと、ずっしりと重いではないか。中袋から出す際に円盤の縁に指を掛けると何となく分厚い。「ひょっとして」と淡い期待でレーベルを見ると、残念ながら、やはり「マルーン」(3rdプレス以降)であった。まぁ、ジャケットも巻きではなく、貼りなので当り前なんですが。
さて、メンバーがA、B面でpとbが異なっている。ウッズ(as)、ゴルソン(ts)の組合せも興味深いものがあるが、目を引くのは何といっても、B面に入っているまだ新人の域のpのエバンスである。
ユニークなカヴァー・デザインの割りに演奏自体は、至ってジェントルであり、インパクトのある内容ではない。ソロイストの中では、ウッズが群を抜いており、若々しくエモーショナルなasが聴きものである。また、Bー1の‘Blu-A-Round’でのエヴァンスのフレッシュで凛としたピアノ・ソロを聴くとこの人の本質めいたものが感じ取れる。
ところで、本作の録音はR・V・ゲルダーによると、クレジットされているが、本盤を聴くと、ゲルダー・サウンドと全く異なるので、レーベルと溝部分のと間の無録音部分を調べてみると、RVG
の刻印が無い。つまり、ゲルダー自身の手によるカッティングがされていないのである。こうした点に拘る事を快く思わない方々が居られますが、音質面でこれだけ差が出ると、無視するわけにはいかない。
まぁ、ファクトリー・シールドされた状態では、確認できず、当るも八卦、当らぬも八卦、とでも言うのでしょうか。
JAZZ SAHIB / SAHIB SHIHAB
SAVOY MG 12124
* SAHIB SHIHAB(bs) PHIL WOODS(as) BENNIE GOLSON(ts)
HANK JONES(p) PAUL CHAMBERS(b) ART TAYLOR(ds)
* SAHIB SHIHAB(bs) PHIL WOODS(as) BENNIE GOLSON(ts)
BILL EVANS(p) OSCAR PETTIFORD(b) ART TAYLOR(ds)
1957
(4/6/’05)
1963
1965