気になる一枚


EARLY QUINTETS / PHIL WOODS

PRESTIGE    7673

(MJ 7140)

PHIL WOODS ( as)  JOHN WILSON (tp)  JIMMY RANEY (g)   BILL CROW (b)  JOE MORELLO (ds)   

HOWAD McGHEE (tp)  PHIL WOODS (as)  DICK HYMAN (p)
TEDDY KOTICK (b)  ROY HAYNES  (ds)    

その昔、Prestigeから、比較的古い音源がヒストリカル・シリーズとして発売された。ご覧にように味気ない画一的なジャケット・デザインと、擬似ステレオ化されたものもあり、当時、敬遠していた。その中の一枚で、ずっーと後年になって手にいれた物。不勉強のため、このレコード自体の存在を知らなかった。
Woodsの初リーダー・アルバムと言えば、同じ54年10月録音の「POT PIE](New Jazz 8291)とばかり思い込んでいたし、音源がはっきり記憶になかった事もありハズレ覚悟で購入した。
それが、A面(1954年)は大当たり。23歳とは思えぬ堂々して、ハリのある歌いぷりは、
既に絶好時と変わらない程の完成度を見せている。それに、実質上、リーダーでもあるJ・RANNYの趣味の良いギタープレイと相俟って良い出来に仕上がっており、結構、気に入って聴いている。
反面、1959年のほうは、D・HYMANとの音楽性の違いもあり、約10年後、奇跡の復活を果たすまでの暗黒の時代をまるで予期するかのように、気持だけが空回りしている。
レコードそれ自体は、レアではないが、音源はレアではないかと思う。 


A NEW CONCEPTION / SAM RIVERS

BLUE NOTE   4249

SAM RIVERS (ts ss fl)  HAL GALPER (p)  HERBERT LEWIS (b)STEVE ELLINGTON (ds)

1966

怪人、リバースのスタンダード・ソング・ブック。リバース・ファンかマニアでないと、なかなか手が出しにくい。
ジャケットの一部が傷んでいて、4,800円とチョット割高感がしたので、躊躇したが、モノラル盤と言う事と、以前、くやしい思いを経験したので、購入。その後、僕は二度と見掛けていないのでこれは、これで正解か?
全8曲、さすがにおとなしめに吹いている。ただ、ts、ss、flを持ち替え、マルチ奏者としての力量と曲に変化を追求しているが、その分、スタンダード曲の掘下げに影響が出ている。
スタンダードのむずかしさが意外にこんなところにあるのではないか。新鋭達をリズム・セクションに配し、新しい局面を狙った企画は、
ただ単なる‘キワモノ’とは、別次元だが、前作の‘CONTOURS’があまりにも素晴らしかった分、比較される辛さは避けられない。


TOMORROW’S PROMISES / DON PULLEN

ATLANTIC  SD 1699

DON PULLEN (p ep clavi)  GEOGE ADAMS (ts ss bc fl)         RANNDY RECKER  (tp)  MARVIN PETERSON (tp)  ALEX BLAKE (b) TYRONNE WALKER (ds)  BODDY BATTLE  (ds per)

ここで本作を紹介するのに少し抵抗を感ずる。マイナー・レーベル「Black SAINT」等にもっとクリエイティブなレコードがあるではないか、と言われそうだが、メジャーレーベル第一作となるこの作品は、今となっては意外に入手しにくと聞く。
確かに全体にPOPな仕上りになってるが、僚友、アダムスのほか、ブレッカー、ピーターソンと言う‘つわもの’達が、がっちり脇を固め、それなりに聴き所は少なくない。
辛口派は‘クズ盤’というかも知れないが、プーレンとアダムスにとってこれを機にその後、スターへの道を進む第一歩を標すものとしてかけがえのないものになったはず。
ここで見せる 二人が持つソウルフルな一面は、失われつつあった時代が求めたものでもあったのだろう。
名演、名盤ばかり集め、聴いていてはジャズ・ライフが味気なさ過ぎる。こんな一枚、持ってても良いのではないか。

1977


チョツト

HANK MOBLEY QUINTET / HANK MOBLEY

BLUE NOTE  61006

KENNY DOHHAM (tp)  HANK MOBLEY (ts)  SONNY CLARK (p)   
GEORGE JOYNER (b)  ART TAYLOR (ds)

‘どこがレア盤、珍盤なんだ!’と多く?の方からお叱りを受けそうだが、よく見ていただきたい。J・ジェンキンス(as)の入った「1560」と、どこか違う。
そう、ジャケットのデザインは同一だが、‘HANK’の文字に繋った絵柄の配色が正反対なのだ。それと、レコ^ードNOだ。要するに、84年に初めてリリースされた未発表もの。恐らく日本だけだろう?どうして、こんな紛らわしいジャケットになったのかは、知らないが、何とかならなかったのだろうか。つい見逃してしまう。
また、61006のNOも無粋だが、右上の‘N・6・21’は何の意味なのか?センスを疑ってしまう。裏には、‘Featuring  S・Clark’のサブタイトルの記載有り。かの有名な「1568」の2ヵ月後の録音である。
内容は、さすが筋金入りのハード・バッパー達、50年代後半の典型的ツー・トップ・スタイルの演奏が収められている。だが、これといった目玉がないので、お蔵入り、になったのだろう。
とはいうものの、S ・ROLLINSの知る人ぞ知る名演‘My Reverie’でのドーハムのハツラツとしたプレイなど、聴き所は少なくない。普通のファンには、有っても無くてもどうでもよいレコードだけど、モブレー、ドーハム、クラークのコンプリート化を目指しているファンにとっては、なくてはならない作品。案外、難所かもしれない。

ps そう思っていたら、つい先日、ふらっと覗いてみた京都の廃盤屋にこれが置いてありました。あまり難所ではなさそうですね。すいません。 


11/8/1954

3/3/1959

1957

THE ED HIGGINS TRIO / ED HIGGINS

REPLICA 1009

ED HIGGINS (p)  DAVE POSKONKA (b)  JACK NOREN (ds)

1957

今最も旬?なピアニスト、ヒギンスの初リーダー作がコレ。勿論、オリジナル
ではなく、FSR盤。つまり「レプリカ」です。駄じゃれでした。
VJ盤で、バリバリのモダン派との組合せで、どことなく異質な面を聴かせ、それが、逆にヒギンスの名を印象付けたが、VJに吹き込んだリーダー作も全篇、トリオではなく、いま一つ、全貌が判り難かったのも事実だ。だが、25才になるかならない時期に、すでにしっかりしたテクニックを習得している点、チョット、驚きですらある。
お馴染みのバップナンバー、スタンダードナンバーを軽妙に弾いているが、さすがにスロー・ナンバーでは、若さを露呈している。
パウエルを基調にしているが、どこそこ、悪い意味ではなく、ラウンジピアノ的要素も垣間見える。その面が上手く進化し、現在の流暢なピアノ・プレイに繋がっていると思う。ジャケットもよく見るとそんな雰囲気だ。
このレコードは、そう言う意味では、
コレクターズ・アイテムの一枚と言えるのではないでしょうか。


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