ちょっと一息  (22)


オール スター セッション  BLUE NOTE 1558 Vol.2 / SONNY ROLLINS


 






   

 
 

 

「モノラル・レコードはモノラル専用カートリッジで聴くべし」という格言(めいた)があります。理論上でも、そうらしいし、自分もそうしている。

先日、「オーディオ・フェスタ 2014」が地元で開催され、あるブランドの試聴タイムで、その検証の機会があった。モノ・カートを発売した販促が目的ですが、具体的に聴かされると、「なるほど、やはり」と思う。テスト盤に選ばれたブツは、泣く子も黙る天下の名盤、ロリンズの「サキ・コロ」。しかも「完オリ」との事。ま、当然でしょう。
自社のスレテオ・カートとモノ・カートで続けて流しましたが、機材がハイエンド・クラスなので、もう、ハッキリと両者の違いが分かりますね。流れたトラックは「セント・トーマス」。持ち時間がタイム・アップし、途中でカットされたのが、まことに残念。



で、思い出したのが、本盤。もう、随分、前ですが、自宅からチャリンコで行ける所に、ジャズとロックを扱う「円盤屋」があった(現在は場所を都心部に移っている)。近いのはメリットですが、デメリットは顔見知りになると、手ぶらではなかなか帰れないところでしょうか。だから、年に4.5回ぐらいしか行かなかった。今から思うと勿体ないなぁ〜と思うのですが。
それは兎も角、ある時、マスターが「これ、リバティ盤だけど、もの凄い音がするよ」と、BN1558を出してきた。







 
 

リア・カヴァのBNアドレスは‘43 WEST 61st ST., NEW YORK 23’、インナー・スリーブがリバティ、そして盤にはRVGの刻印ありでした。それまで、所有していた盤はUAのSTEREO盤で、いつかは、モノのオリジナルを思っていたが、高価なので半ば諦めていました。「聴いてみる?」と言われたが、聴くに及ばぬ、と直ぐ購入。
急いで帰宅し、少し前に手に入れたばかりのモノ・カートを降ろした。部屋中に轟音が鳴り響き、「再発盤とはいえ、コレがBNのモノの音か!」とビックリ仰天した。試しに、ステレオ針で聴くと、やはり、密度とエネルギー感が違っていた。




 




 

現在、使用しているモノ・カートリッジはごく普通というか、もうローエンドと言っていいA・テクニカのAT−3とデンオン(デノン)のDL−102で、AT-3で聴く事が多い。セラミックのスペーサーとレゾナンス・チップで制動を利かし、リード線は極太(メーカー不明)で、ギュッと引き締まったサウンドが出てきます。チョット固目ですが、緩い音は好みでないので、コレで良し、と思っている。
もう少し上のグレードのものを使いたいのすが、もう確実に始まりつつある?耳の劣化に果たして対応できるのか、と考えると二の足を踏んでしまう。



さて、全員が一国一城の主と言えるオール・スター・キャストによる本作、彼らにしては特別な事をしているワケではありませんが、凄い演奏ですね。1957年という時代の空気がギッシリ詰まっている、否、もう破裂している。全曲、素晴らしいが、中でもB−2、‘You Stepped Out Of A Dream’は最高です。ロリンズが切れそうになる寸前に、ジョンソンが襲い掛かりダイナミックなソロ・ワークを繰り広げ、後ろから、ブレイキーがこれでもか!とばかりプッシュする展開、ゾクゾクします。また、終盤のロリンズとジョンソンの掛け合いもワクワクします。で、本セッションの影の要は、ブレイキーですね。猛者達を完全に掌握している。ヤッパー、凄いドラマーだ。



この内容にして、タイトルが単にVol.2とは素っ気なく、勿体ない気がしますが、1957年はそれほどに凄い年だったのでしょう。



(2014. 2. 17)



      BACK            TOP